2002年8月30日

マイクロロン処理(ベアリング編)レポート

目的

マイクロロンがベアリングに与える効果と特性を調べるため空転試験をして、最も効果を発揮するマイクロロン処理方法を見つけ出す。

テスト方法A(空転試験)

この試験ではPRO3リヤ部の軸受けとなっているベアリング6個(B022×4 B030×2)を色々な方法でマイクロロン処理し、PRO3のリヤを空転させその空転時間を測定し最適なマイクロロンの処理方法を見つけ出す。

方法として始めにPRO3のリヤベルトを外しデフロックさせ完全にリヤが空転する状況をつくりだす。タイヤを空転させる際 一定の条件にさせるため図1のようにモーターを使ってタイヤを回転させる。モーターは20Tのモーターを使い、3Vの電圧をかけリヤのタイヤを一定の速度になるまで回転させる。回転速度が安定したらタイヤからモーターを放し、タイヤの回転が止まるでの時間を測定する。測定結果は10回測定し、その平均である。

これから行うテスト結果はすべてこの空転試験により出た結果である。

図1

テスト1(マイクロロン処理による効果の違い)

テスト1ではベアリングに色々な方法でマイクロロン処理し、最適な処理方法を見つけ出す。参考のためノーマル(キット標準)、脱脂のみなどマイクロロン処理していない状態も測定した。


結果1

マイクロロン有無

状態

測定結果(S)

無し

(1)ノーマル(キット標準)

21.1

 

(2) 脱脂のみ

30.3

 

(3) 脱脂後、LRPベアリングオイルを大量注入

20.8

有り

(4) 脱脂後、5分間マイクロロンに浸し自然乾燥

70.3

 

(5) 脱脂後、1時間マイクロロンに浸し自然乾燥

53.5

 

(6)脱脂後、ドライヤーで加熱しマイクロロンに浸す。すぐにマイクロロンから出し、ドライヤーで完全に乾燥するまで加熱

79.8

 

(7) 脱脂後(6)の工程を3回繰り返す

96.2

 

(8) (7)のベアリングにLRPベアリングオイルを少量(2滴)注入

95.1

 

(9) (7)のベアリングにLRPベアリングオイルを大量注入

37.8

表1

グラフ1

結果と考察1

(6)よりマイクロロンは浸す前後に加熱すると定着しやすくなり良い結果へと結びついた。また、1回の処理よりも、(7)の様に何回か繰り返し処理することによりしっかりと定着する。

(8)と(9)より、マイクロロン処理したベアリングにベアリングオイルを大量に注入すると、少量注入したものに比べ空転時間は明らかに落ちてしまう。これはベアリングオイルの粘度により落ちたと考えられ、これを裏付るようにマイクロロン処理していないベアリングでも大量のベアリングオイルを注入すると空転時間が落ちてしまう。

テスト2(マイクロロン処理後の経過時間)

テスト1では、加熱して繰り返しマイクロロン処理する方法が最も効果が発揮されることが解った。そこでテスト2ではマイクロロンの効果がどの位続くのか計測してみる。

そこで 同じ方法でマイクロロン処理したベアリングを使い、一方はマイクロロン処理しただけのベアリング(7)、もう一方はマイクロロン処理しベアリングオイルを少量注入したベアリング(8)をマイクロロン処理した当日、一日後、1週間後と比較し効果がどの位続くのか計測してみる。

結果2

マイクロロン処理日

ベアリング(7) (S)

ベアリング(8) (S)

当日

96.2

95.1

一日後

56.5

52.4

1週間後

42.4

39.6

表2

グラフ2

※グラフ2は測定結果に基づいた予想グラフである。

結果と考察2

マイクロロン処理したベアリングは、1日経過すると効果が落ちてしまいその後は一定の効果を発揮する。しかしノーマル(標準)ベアリングの空転時間は21.1秒、脱脂したベアリングでも空転時間は30.3秒と、日数が経過しているマイクロロン処理したベアリングの方が空転時間は良い結果が出ている。

時間が経過するにつれ効果が落ちてしまうのは、ベアリング内のマイクロロンが乾燥してしまったからだと思われる。乾燥を防ぐためにベアリングオイルを注入してみても、効果は得られなかった。このことより マイクロロンの効果を発揮させるためには、走行当日や走行前に注入すればより効果を発揮すると解った。

テスト3(マイクロロン処理回数)

マイクロロン処理したベアリングは 時間が経過するにつれ効果が落ちてしまう。そこで一度効果が落ちてしまったベアリングにマイクロロン処理することにより、どの程度効果が元に戻るのかベアリング(6)を使用し試験してみた。

結果3

マイクロロン処理回数

測定結果(S)

1回目

79.8

2回目

86.5

3回目

95.7

4回目

95.0

表3

グラフ3

結果と考察3

 マイクロロンの効果が落ちたベアリングは、再度マイクロロン処理すればまた同じ結果に戻ると考えていた。しかし、そうではなく2回3回と処理してくにつれ結果が良くなっていった。だが3回目以降効果良くならず現状維持のままとなった。

 これはマイクロロン処理を1回行うよりも、処理回数を3回繰り返すことにより、マイクロロンがベアリングに段々と積み重なりしっかり定着したことが解る。また3回目の処理以降効果が上がらないのは、ベアリングは3回マイクロロン処理することにより十分にマイクロロンが定着するのだと思われる。

テスト4(マイクロロン処理の耐久性)

 マイクロロン処理したベアリングは、時間が経過するにつれ効果は落ちてしまう。そこで、実際に走行した場合 この効果がどのくらい持続するのか計測しマイクロロン処理したベアリングの耐久性を試験してみる。

テスト方法B(消費電流試験)

 PRO3のベアリングすべてにテスト1で最も良いとされる処理方法Gで、マイクロロン処理しベアリングを装着させ組み立てる。組み上がったPRO3を20Tのモーターを使い3Vの電圧をかけ無負荷で空転させ、その時の消費電流を計測する。空転時の消費電流を1パックごとに測定して、走行の際 マイクロロンの効果がどの位持続するのか試験する。この試験では消費電流の計測がメインであるが 以前のテストと比較させるため、テスト方法Aの測定も走行前と4パック走行後で実施した。

結果4

 走行時間(パック)

テスト方法B

消費電流(A)

テスト方法A

空転時間(S)

走行前

2.4

81.5

1パック走行後

2.5

 

2パック走行後

2.5

 

3パック走行後

2.5

 

4パック走行後

2.5

80.5

表4

図4

結果と考察4

 走行前と4パック走行後で0.1Aの消費電流が増加した。これはフロント部のベアリングにゴミが入ったからだと思われる。それを裏付けるは空転時間で、走行前と走行後のリヤ部の空転時間が変わっていないからだ。以上のことよりマイクロロン処理したベアリングは1日走行してもゴミやホコリが入らないかぎり効果が持続することが解った。

結論

マイクロロンがベアリングにもっとも効果を発揮させる方法は、ベアリングを加熱させマイクロロンに浸し再度加熱させる処理方法である。また、マイクロロン処理は1回よりも3回処理をした方が良い。

そして 走行させる当日にマイクロロンを注入させる。そして マイクロロンは潤滑剤ではなく被膜を形成させるものなのでLRPベアリングオイルなどを少量注入させたほうが良い。なお、マイクロロンの効果は1日持続するが 走行前に繰り返し注入させるとより効果的である。

マイクロロンが最も発揮される処理方法

・マイクロロンの処理方法

STEP1. 洗浄  ベアリングに付着している油や汚れを、クリーナースプレーで完全に洗浄脱脂する。 

STEP2. 予熱  ドライヤーでベアリングを約1分加熱させる。

STEP3. 処理  マイクロロンに浸す。浸す時間は特に関係無く、またスプレーや注入などの方法でもよい。

STEP4. 乾燥  ドライヤーなどを使い完全に乾燥させる。

  STEP3.と4.の工程を3回ほど繰り返しおこなうと、よりマイクロロンは定着する。

・走行前のマイクロロン使用方法  

STEP1.  マイクロロンをベアリングに注入させる。

STEP2. 少量のLRPベアリングオイルを注入させる。

塩見 光蔵